西粟倉村のストーリー「ローカルベンチャー」
3月 25, 2022
人口約1500人の岡山県・西粟倉村における著者である牧大輔さんの起業ストーリー本で、地域資源を活かした自社事業や行政とともに取り組んでいる事業などについて書かれています。
牧さんは総合コンサルティング会社で働き地方自治体をサポートしている時にいくら分厚い計画を書いても地域が変わることはないと思い、プレーヤーになることを決意。1700人の村に移り住み、行政と連携しながら事業を拡大し、森林資源をいかした事業や移住支援事業、地域協力隊制度を使ったローカルベンチャースクールの運営など幅広く展開しています。
僕自身の思いとも重なる部分もたくさんあって、外部からかかわるコンサルタントやベンチャー企業などはたくさんいるけど、地域にはプレーヤーがいないことが問題という指摘について強く同意しました。どれだけ魅力的な計画があっても実行に移すプレーヤーやそれを支える前向きな行政がないと物事は起きないし、軌道に乗らないと感じています。
本書のケースは、自治体の強いサポートが継続的にあるから成り立っているケースの可能性があること、自治体の規模がかなり小規模なケースの成功例ということなどに留意した上で、地域活性化を目指す人は読んで損はないと思います。飛騨地域のようなエリアで地域資源を活かして起業したい方は読むべき一冊かと。
以下、印象に残った内容とコメントです。
- やりたいことは自然資本が持つ本来の力を引き出し、価値を想像すること。農業、林業、水産業を横に繋いで循環する仕組みを作り大きくしていきたいと思った。1番ハードルの高い鰻の最適化に取り組むことで全体を理解しようとした
➡ 一番ハードルの高いところに手をつけるとリスクはあるが学びも多いですね。
- 仮説だが、迷っている人がこれからの地域を作るのではないか。東京から逃げてきた人が自分を見つけて元気になる場所
➡ 「逃げてきた人」と断定してしまうと劣等感が残る気がするので、違う表現、例えば、東京に見切りをつけてきた人というような前向きな表現がいい気がします。地方にある対都会に対する根深い劣等感は身をもって感じてきたので、マインドセットから変えるといいなと思います。
- 移住者が来るのは地域力があるからです。その逆ではない。自治体職員がやりたいことをやり、それがうまくいきそうなら上席が引き上げて政策にしていくというのがうまくいく方程式
➡ このアプローチは規模が小さい自治体に有効だと感じたので、飛騨地域だと白川村かなと思いました。中途半端な規模の自治体が行政主導でまちづくりという名目のもと、ノウハウもないのに手をつける事業は危険だと感じます。飛騨市や高山市が実質運営する事業が増えすぎているのがそうです。プレーヤーをもっと増やすこと、力のある民間と協業すること、予算ありきの継続ではなくて廃止することが大切になると思います。