日本は終わってる?「2040年 おいしいニッポン」
3月 27, 2022
ロングセラー『投資家が「お金」より大切にしていること』の著者で「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークスの代表藤野さんの本です。最近たくさんのメディアで見ることが増え、考え方や地方への想い(富山出身)に共感することが多いので、本書を買ってみました。
本書に書いてあることは、僕なりに一言でいうと、「日本は課題先進国=チャンス先進国」です。2040年というと、それまでに南海トラフや富士山噴火などがほぼ確実に起こると言われ、人口減少・高齢化が進み、GDPの規模も縮小していくことが予想されていて、悲観一色という感じでしょうか。藤野さんはそんな世間の認識に対して、一石を投じています。さらば悲観論!と。
個人的には本書の内容が地方の事例に多くのページを割いていることが嬉しかったです。藤野さんの着眼点が新しいこともあると思いますが、地方の先進事例が紹介されています。普段から意識して地方ビジネスの情報収集をしている人にとっては、たぶん物足りないと思いますが、地域内でもやもやしている人や都心で働いている人には目から鱗の内容も多いのではと感じました。
また、大企業に行くことを否定することなく、「大企業でもいいし、地方起業でもいい。地方で起業してもいいけれど、大切なことは自分のしたいことができる場所を最優先に考えること」という部分に共感しました。僕自身、愛着のある地元でやりがいのある仕事をしたいと考えていましたが、やりたい仕事がありませんでした。なので、起業するしか選択肢がなかったという感覚がありました。
正確には、漠然といつか起業したいとは思ってはいたけれど、起業に踏み切った時の状態は、他に選択肢がなかったからというのが正しいかもしれません。 自分の愛する故郷で、世界とつながりながら地域にコミットした事業が存在しなかったので、つくるしかなかったという感じです。 ちなみに人生最良の意思決定だったと思っています。
この本が真に伝えたいことは、2040年のビジネスチャンスに関するアイデアや先進事例の紹介ではなくて、これからの20年の生き方だと思います。後半に著名な投資家 千葉功太郎さんとの対談まで読むとそう感じます。
目の前の課題がチャンスなのか問題なのかはあなた次第。年齢も職業も関係ない。あなたが本当にやりたいことができる場所を選び、自分の人生を自分で歩むことがこれからの時代の生存戦略んだと。
明るい未来をつくるためのアイデアとマインドセットを若者に届けたいという思いが根底にあるのだと思いました。
以下、印象に残った内容とコメント。
- 大企業に行くのか、起業するのかではなく、自分のしたいことがどこでやれるか、で考える時代がくる。
➡ この考え方に多くの方が共感できるような世の中になってほしいです。ただ、大企業が選択肢に入る時点で恵まれている環境にある可能性もありそうで、それは本書の趣旨とは違うと思いますが、都市 vs 地方における様々な格差についての解決策につながるような形が生まれるといいと感じます。
- 三重県のウェルビーイング事業を手掛ける株式会社ホークアイさん
➡ 本書で紹介されていて気になったので見てみたら、なんとプライベートサウナの製造販売もされていました。一度体験してみたいです。
- 起業家が子供がなりたい職業トップ10になることを願う。千葉道場は心がつながる場所。皆が教え学び合う。日本は成功体験の体系化が遅れている。
➡ 千葉さんの言葉ですが、とても熱くていいなと思いました。信念を持って千葉道場を運営されていることが伝わりました。成功体験の体系化が遅れているのはそうなのだろうと思います。MBAで学ぶ内容も欧米から輸入したものがほとんど。HIDAIIYOとして起業家支援はしていますが、並行して地方起業、スモールビジネスの成功ノウハウの体系化をしていきたいなと思いました。自社の事例をまとめることから始めたいと思います。
- 起業は若い方がいいと考えていたが、いまはどちらでも良い時代だと思います。ACSLは千葉大学教授が64歳で起業して69歳でマザーズ上場。
➡ こちらも千葉さんのコメントです。年齢関係なく起業して事業を成功に導くことができるケースがあることはもっと世の中に知られるべきだと思いました。20代前半の起業家が注目されがちですが、かっこいい大人の起業家もたくさんいるはずです。飛騨地域の起業家はとても少ないですが、起業家的な2代目、3代目も生まれているので、もっとスポットライトが当たるといいなと思いました。