良い意思決定のために「Invent & Wander」 ジェフ・ベゾス
8月 31, 2022
言わずと知れた世界的経営者、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏自らの言葉による初めての本です。過去の発言や、著述、インタビューなどを集めたもので、すべてジェフ・ベゾス氏自身の言葉で、その思考に触れることができます。自分の場合は、アマゾンのようなスケールする会社を目指していないけれど、その経営哲学からは学ぶことがあると思い購入しました。
アマゾンの成長を支えてきた経営哲学やジェフ・ベゾスの行動原則は初めて聞くものではありませんが、非常に高いレベルでやり切ることはできないものばかりです。大組織になっても創業者のDay oneカルチャーが少なくともマネジメント層には浸透していることが強いのではないかと感じました。
本の内容は実務的な話よりも哲学的なので、経営者の方やマネジャーレベルの方に特におすすめの本です。
以下、印象に残った点とコメント。
- 後戻りできない意思決定に時間をかけるべきだが、最後は体力勝負になってしまうことがある。現場で長く議論されていることは、上に上げるべきだ。意見が分かれることを意思決定するのがマネジャーの仕事であり、「この方向性でいく。反対の人もコミットしてくれ」と伝えるのだ。上司としても「私は絶対反対だが、現場で信頼されている君が言うなら正しいだろう。」と反対だけどコミットをすることだ。
➡ この重要性に気づくことがマネジメントをする上でとても大切だと思います。気づいた上でそれを実行するのがまた難しい。リスクを取れない人材にマネジャーをさせると何も決まらない。学び続けないと悪い意思決定が続く。チームとして意思決定をした以上、全員にコミットしてもらう必要があるので、意思決定の質は大切。
- 10年後も変わってないものは何か?を考えることはとても大切だ。今後どうなる?よりも重要な場合がある。Amazonであれば、価格と速さは10年後もお客様が求めると確信しているので、そこは継続するべきだとわかる。
➡ この視点で世の中を見ることは意外となかったので目から鱗。10年後、20年後、どんな未来にしたいか?世の中は、業界は、飛騨はどうなっていくだろうか?とは考えることがあっても、10年後も変わっていないものはなにか?という視点はなかっただ。IORI STAYでいえば、大切な人々と集い幸せを、生きていることを感じたいというニーズは変わらないと思う。メタバースの世界になってもリアルの価値で旅行業は戦える。
- 自分で挑戦して何度でも自分でやってみることが大切だ。物事を前に進めようとすればかならず問題に突き当たるし、失敗するし、うまくいかないことがあるという話だ。自分たちのリソースを使って新しいことに次々と挑戦し、物事の心理-お客様は何を本当にほしがっているか-を探り出せば、たいていの努力は報われる。
➡ HIDAIIYOである程度実践できていることだと思ったが、もっと徹底していきたい。まず自分たちでやってみようということを常に言っているし、やっている。顧客に向き合うことで顧客を知ることができ、顧客ニーズを深堀できている。それを顧客サービスや体験、プランに反映していくプロセスをしていく必要がある。そのためには会社内のリソースが足りていないので、採用活動が必要だ。とにかく物事を前に進めよう、そこから情報を得て改善しよう。
- 朝ゆっくり過ごすのが好きだ。コーヒーを飲んだりご飯を食べる。8時間寝るようにしている。良質な意思決定をするのに必要な時間だからだ。初期の頃は違ったが、いまは社員がたくさんいるので、100個の意思決定より、3つでも良質な意思決定をすることができれば十分だ。バフェットは一年に三ついい判断ができれば満足だと言っている。私も本当にそう思う。
➡ 朝ゆっくり過ごしていること、8時間睡眠であることは意外すぎて驚いた。良質な意思決定。100個より3個。イシューを特定する作業が日ごろからできている必要があり、簡単ではない。
- 人生でも仕事でも私がこれまでにした最良の決断はいずれも、心と直感とひらめきによるもので、分析によるものではありません。分析で決断できるならそうすべきですが、人生で最も大切な決断はいつも本能と直感と好みと心で決めてきました。
➡ 自分もやっていることは、心と直感とひらめき、によるものだ。言い訳としての分析がある。サラリーマンにはできない楽しい意思決定がそこにはある。周りが良いと思うことをやること、社会的ポジションや収入を考えること、自分の心に素直になることは、人生を豊かにしてくれます。
- 企業が正しいことをしようと必死に努力すればお客様はすぐに気づいてくれますし、企業がその努力を何度も重ねていれば、信頼が得られます。時間通りに配達する、常に安い価格で提供する、約束したことを守る、受けが悪くても正しいと信じる考え方に従って意思決定を行う、より便利な買い物や読書の方法を発明したり家の自動化を提案したりすることでお客様が家族と過ごせる時間を増やす、そういった難しいことを上手くやり続けることで、信頼はゆっくりと時間をかけて築かれていきます。
➡ 正しいこと。それは誰にとって正しいか。誰のための正しさか。