# 読書レビュー
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3月 31, 2022
リノベーションまちづくり「熱海の軌跡」
衰退していた熱海をビジネスの力で再生に取り組んでいる市来さんのストーリー本。熱海生まれの著者はコンサルティング会社で働いていましたが、コンサルティングで人々を幸せにできているのかと疑問に持ち、大前研一さんが主宰するビジネススクールへ。Uターンして熱海の衰退をビジネスを通じて解決する道を探ります。地元の衰退をなんとかしたい、ビジネスの力で再生したいといった思いや、コワーキングスペース運営、創業支援などHIDAIIYOのストーリーやビジネスと似ている部分も多く、共感しながら読みました。地域再生系の本は実力以上に大きく見せようとするケースがよくあるのですが、市来さんの本は自然体。成功事例だけでなく、補助金に頼ったことによるイベントの失敗や、カフェの失敗についてもちゃんと書いていて好感が持てます。これはなぜかというと、おそらく、描いているビジョンが大きいからというのと、地域に根付いているからだと思います。ビジョンが小さいと自己中心的になってしまい、地域に根付いていない人物では周りが見えないので、自分ブランドのPRが先行してしまって知名度はあっても実態は、、、というケースがあったりします。リノベーション...
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3月 30, 2022
地方の生存戦略「地方消滅 創生戦略篇」
岩手県知事や総務大臣を務めた増田さん、株式会社経営共創基盤会長の冨山さんによる共著。政治と経営のプロが地方の消滅危機の実態とチャンスについて語っています。政治家の本は過去にいくつも読んできましたが、ふわっとした内容が多くなりがちです。しかしこの本は、富山さんという論客のおかげで、理論がしっかりとしていると感じました。GDPと雇用の7割を占めるローカル経済に、日本経済復活の可能性を見出している冨山さんの理論は筋が通っています。個人的には、富山さんのコメントが自社と照らし合わせながら読める部分も多く、特に地方発のイノベーションをどう生み出していくかという最終章が良かったです。一点欲をいえば、世界からの視点があると良いと思いました。インバウンドについて記載はありましたが、世界のローカルとの比較や事例についての言及があると満足度が高まった気がします。地域活性化に興味のある方におすすめできる本です。以下、印象に残った内容とコメント。地方の中核都市レベルに住む夫婦が共働きで500万円稼げる仕事をいかにつくるかが大切。新しいミドルクラスを作る。100-200万給与の仕事では駄目だが、観光業はそうなりがちなのが...
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3月 26, 2022
初めの一歩「地方起業の教科書」
地方で起業したい方向けの実践書として、ワタミで新規事業立ち上げなどを担当された中川直洋さんという方の本です。前半はマクロ的な人の流れについてや、地方にビジネスチャンスがあふれていることなどを説明し、後半では事業立ち上げに必要ないわゆる「いろは」的なことを平易な表現で書かれています。既に事業を立ち上げて数年経っている自分からすると、この本の内容は簡単すぎるというのが正直な感想でした。ひふみ投信の藤野さんや面白法人カヤックの柳沢さんが推薦しているので、本書の趣旨としてターゲットとする読者が起業すら考えていない学生や若者向けなのだろうと思います。高校生、大学生、社会人3年目までの方で、Uターン・Iターンに興味がある、地方起業の可能性について考えたい、地域協力隊で起業もしてみたい、という場合は、おすすめできます。ただ、本書だけを読んでも何かできるようになるわけではなく、ざっくり地方起業についてわかるというレベルにしかならないので、既に起業したいという強い思いのある方はスキップして、興味のある分野の起業家本を読む方がよほど勉強になると思います。以下、印象に残った内容とコメントです。著者が代表を務...
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3月 25, 2022
西粟倉村のストーリー「ローカルベンチャー」
人口約1500人の岡山県・西粟倉村における著者である牧大輔さんの起業ストーリー本で、地域資源を活かした自社事業や行政とともに取り組んでいる事業などについて書かれています。牧さんは総合コンサルティング会社で働き地方自治体をサポートしている時にいくら分厚い計画を書いても地域が変わることはないと思い、プレーヤーになることを決意。1700人の村に移り住み、行政と連携しながら事業を拡大し、森林資源をいかした事業や移住支援事業、地域協力隊制度を使ったローカルベンチャースクールの運営など幅広く展開しています。僕自身の思いとも重なる部分もたくさんあって、外部からかかわるコンサルタントやベンチャー企業などはたくさんいるけど、地域にはプレーヤーがいないことが問題という指摘について強く同意しました。どれだけ魅力的な計画があっても実行に移すプレーヤーやそれを支える前向きな行政がないと物事は起きないし、軌道に乗らないと感じています。本書のケースは、自治体の強いサポートが継続的にあるから成り立っているケースの可能性があること、自治体の規模がかなり小規模なケースの成功例ということなどに留意した上で、地域活性化を目指...