# まちづくり
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4月 6, 2022
『NISEKO』
ニセコ視察は本当におもしろかった。現場視察のみならず、ニセコの観光協会やDMOを訪問して意見交換し、色々と自分たちなりに理解してきました。ニセコがここまでになっているのは世界一パウダーが素晴らしいというのは間違いないけれど、それだけではない様々な要因と外国人以外にも貢献した日本人のストーリーがあることを知りました。一泊2日なのでめちゃくちゃ薄っぺらいですが(笑)、いまのニセコを僕なりに一言で言うと、『日本人にとってのハワイ』のような場所でした。 オーストラリア人の旅行者の視点で見ると、言語、アクセス、宿、飲食、リラクゼーション、アクティビティ、なんならコンビニさえも、あらゆる点で、グローバル・オージースタンダードが持ち込まれていて、ノーストレスで楽しめる。雪がダメでも他のアクティビティもある。 これは日本人がハワイに行けば満足度は間違いないと思うのに通じるものがある。日本人にとってハワイがそうであるように、オージーにとってはバリとニセコが完結型リゾートのブランドとして確立されているのではないでしょうか。メインゲレンデにある人気レストランの看板メニュー 「ステーキハンバーガー」は、店員さんに...
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4月 3, 2022
日本型北欧社会「富山は日本のスウェーデン」
慶応大教授の井出さんによる富山研究本です。富山県が優れている点を歴史を紐解きながら解説する本で、富山県が豊かで住みやすい地域だと力説しています。持ち家率ナンバーワン、女性従業率ナンバーワン、三世代同居率全国5位、学力も高いなどと紹介し、舟橋村について転入超となっているホットスポットとして詳しく書かれています。飛騨地域は富山と地理的に近く、文化的・経済的交流もあるので、富山を身近に感じることができます。個人的にはライフスタイルの一部に富山が入っています。この本に書いてある豊かさは、飛騨に住みながら享受させてもらっている感覚があるので、肌感覚でわかる部分もありましたが、富山に行ったことがない方は一度行ってみてから読むと良いかも。タイトルが少しトリッキーで最後までしっくりこない部分はありましたが、井出さんの思想や主張を踏まえればなんとなくわかったという感じがしました。井出さんが横浜国立大学に勤務していた頃、僕の友人が複数ゼミ生だったので一度一緒に飲ませてもらったこともあります。教え子達も優秀で学者になっている人も多いです。まだまだメインストリームではないですが、少しずつ時代の流れは井出さん...
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4月 2, 2022
2年前の意思決定
おはようございます。今朝Facebookから2年前の投稿を教えてもらいました。新型コロナウイルスの影響が広がりを見せる中、4月7日には政府による緊急事態宣言が首都圏に対して発出され、16日以降に全国へと拡大。私たちは、2年前の今日、IORI STAYのすべての宿について、政府よりも早い段階で休業する決断をしました。休業を発表した時は5月6日までとしていましたが、半年から一年間休業することになったので、大きな意思決定だったと感じています。2年前の投稿を読んで、HIDAIIYOのビジョン、ミッション、理念、バリューを反映する意思決定だったと感じたので、記録に残しておきたいと思い記載しました。詳しい経緯はいつかブログにも書きたいと思います。以下、2年前の投稿転載です。【大切なお知らせ】 本日よりHIDAIIYOが直接運営する全宿泊施設及び体験ツアーについて、5月6日まで休業することを決定致しました。 従業員含む関係者の方々には本日私から直接ご連絡させて頂きました。 既にご予約頂いていた5月6日までの予約についても、本日全てのお客様にキャンセルの依頼を致しました。 また、何件か問い合わせを頂いております飛騨市民限定の宿泊プランについても...
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3月 31, 2022
リノベーションまちづくり「熱海の軌跡」
衰退していた熱海をビジネスの力で再生に取り組んでいる市来さんのストーリー本。熱海生まれの著者はコンサルティング会社で働いていましたが、コンサルティングで人々を幸せにできているのかと疑問に持ち、大前研一さんが主宰するビジネススクールへ。Uターンして熱海の衰退をビジネスを通じて解決する道を探ります。地元の衰退をなんとかしたい、ビジネスの力で再生したいといった思いや、コワーキングスペース運営、創業支援などHIDAIIYOのストーリーやビジネスと似ている部分も多く、共感しながら読みました。地域再生系の本は実力以上に大きく見せようとするケースがよくあるのですが、市来さんの本は自然体。成功事例だけでなく、補助金に頼ったことによるイベントの失敗や、カフェの失敗についてもちゃんと書いていて好感が持てます。これはなぜかというと、おそらく、描いているビジョンが大きいからというのと、地域に根付いているからだと思います。ビジョンが小さいと自己中心的になってしまい、地域に根付いていない人物では周りが見えないので、自分ブランドのPRが先行してしまって知名度はあっても実態は、、、というケースがあったりします。リノベーション...
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3月 30, 2022
地方の生存戦略「地方消滅 創生戦略篇」
岩手県知事や総務大臣を務めた増田さん、株式会社経営共創基盤会長の冨山さんによる共著。政治と経営のプロが地方の消滅危機の実態とチャンスについて語っています。政治家の本は過去にいくつも読んできましたが、ふわっとした内容が多くなりがちです。しかしこの本は、富山さんという論客のおかげで、理論がしっかりとしていると感じました。GDPと雇用の7割を占めるローカル経済に、日本経済復活の可能性を見出している冨山さんの理論は筋が通っています。個人的には、富山さんのコメントが自社と照らし合わせながら読める部分も多く、特に地方発のイノベーションをどう生み出していくかという最終章が良かったです。一点欲をいえば、世界からの視点があると良いと思いました。インバウンドについて記載はありましたが、世界のローカルとの比較や事例についての言及があると満足度が高まった気がします。地域活性化に興味のある方におすすめできる本です。以下、印象に残った内容とコメント。地方の中核都市レベルに住む夫婦が共働きで500万円稼げる仕事をいかにつくるかが大切。新しいミドルクラスを作る。100-200万給与の仕事では駄目だが、観光業はそうなりがちなのが...
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3月 29, 2022
新規の町家貸し切り宿プロジェクト開始
おはようございます。飛騨も春の風を感じる季節になってきました。今年は積雪量が多く、とっても春が待ち遠しい年だったので、日々幸せな気分が増しています。雪解けとともに、たくさんのプロジェクトも動き出すのが飛騨地域の特徴でもあります。雪が多いと建設現場は危ないですし、工事が思うように進まないこともあるからです。HIDAIIYOでも、新たなプロジェクトが、飛騨古川の中心で始まりました。僕は工事開始直後の現場が好きで、とてもワクワクします。リノベーション案件だと空き家だった古い状態から、自分たちが思い描く姿へと徐々に近づいていくのですが、開始直後は活かす柱など以外は何もない状態に。ここから数カ月かけて、さくさんの方々の力を借りて、完成へと近づいていく。なるべく地域内の事業者で完成させていく。担当の建築士も地域で長く活躍されている方をパートナーとして、一緒に学びながら進めています。このプロジェクトが完成すると、飛騨古川の最も美しいストリート「瀬戸川と白壁土蔵街」における空き家がすべてなくなります。すべての空き家を再生するのに8年かかりましたが、これでやっと次のフェーズへ。次は継続性のある強いビジネスをつ...
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3月 28, 2022
母校の在校生に向けて
母校の古川中学校で中学一年生向けに仕事の話をしました。毎年学校が主催するキャリア教育の一つです。メッセージとしては、仕事というよりは、とにかく今の自分とか周りの評価とかは無視してぶっ飛んでほしい!的なメッセージにしてみました。なかなか笑いが取れなくて苦しみましたが、『想定外のコロナで仕事が減ってしまって苦しいので、サウナにこもって時を待っています』で少し笑ってくれて、ホッとしました。後半は、『サウナに救われた』、『サウナのある今が人生で一番幸せ』、『借金生活でもサウナがあれば戦える』、『朴葉で背中を叩いてマッサージしてみたら良かった』と、サウナのデンプシーロールで熱狂した姿を見せることができました。サウナと美食のウェルビーングタウン構想に向けて、少しだけ貢献できた気がします。たくさん質問もいただきましたし、将来応募したいです!との声も。あとは若い方々に会社や事業についてわかりやすく説明することの難しさも感じました。人前で話す機会は避けるようにしているのですが、地域向けの活動は受けるようにしています。今回のお話が、少しでも自分の生き方に向き合う良い機会となったことを、そして、飛騨の外...
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3月 27, 2022
心とともに届ける「空き家幸福論」
空き家という社会問題を解決するビジネスを立ち上げた藤木さんの本です。藤木さんはデベロッパー出身で不動産ファンドなどで働いた後、不動産活用コンサルティング会社、エアリーフローを設立されました。2015年に空き家仲介サイト「家いちば」を立ち上げて、現在に至ります。本書では著者の人生を振り返りながら、現在進行形で成長し続けている「家いちば」事業について書かれています。藤木さんは空き家を問題として捉えるのではなく、そこに「心」や「ストーリー」という目に見えない付加価値を加えることで流通するようつなげ、社会問題を解決しています。HIDAIIYOが手掛けてきた空き家を再生した貸し切り宿ブランド「IORI STAY」とアプローチが似ているので、共感しながら楽しく読めました。「家いちば」のビジネスモデルがユニークな点は、買い手と売り手が直接交渉することです。最後の契約には宅建士が関与し安全を担保していますが、買い手が自ら疑問点を調べながら案件を進めるので、自主性が生まれるのが特徴。売り手であるオーナーも、自身の想いを本人の言葉で掲載するため、ストーリーが生まれ、感情のの交換が生まれているのも大きなポイントのようです。不...
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3月 23, 2022
新しい資本主義へ「鎌倉資本主義」
面白法人カヤックの代表柳澤さんの本です。面白法人カヤックは鎌倉に本社をおく、デジタルを中心とした事業を展開している会社で、地域における新しい資本主義の形を模索している会社です。本書ではカヤックのこれまでの歩みを振り返りながら、将来目指している世界観などについて書かれています。内容については、地域内での活動やカヤック独自のカルチャー(ex. プレゼン大会、採用や給与決定方法など)について詳細に書かれています。正直かなりオリジナルなので一企業が真似をするのは難しいと思うようなものが多いですが、創業メンバーのノリが反映されているんだということがよく伝わる内容だったので、結局は創業者のノリを素直に出していくことが正解だと思いました。カヤックが提唱する地域資本主義は、地域経済資本 (財源や生産性) 、地域社会資本 (人とのつながり) 、地域環境資本(自然や文化)を指標化して、バランスよく増やしていくことで、多様で持続可能な成長を実現するという考え方で、GDPとう指標に代わるものとしています。この考え方自体は特に新しいものではないと思いますが、会社として、提唱するだけでなく、様々な活動を通じて実行に移され...